事業承継税制                                            島根県松江市の会計事務所

事業承継税制とは、中小企業の円滑な事業承継を促進するために導入された制度で、事業承継に伴う相続税・贈与税の納税を一定期間猶予し、最終的には免除される可能性もある制度です。事業承継には親族内承継、社内承継、第三者承継(M&A)の3種類があります。中小企業では、経営者が株主であることが一般的で、自社株式の承継に多額の贈与税や相続税がかかることが問題となっています。

事業承継税制の利用を促すため、適用要件は緩和されてきました。背景には、事業承継ができないことによる中小企業の廃業増加があります。事業承継税制は、自社株の相続税評価額が1億円超の企業に利用するメリットがあると言われていますが、既に後継者を決めている企業の約半数は、税制を知らないか検討していない状況です。

贈与税には暦年課税と相続時精算課税の2つの課税方式があり、相続税は被相続人の死亡により相続や遺贈によって財産を取得する相続人に課されます。事業承継税制には一般措置と特例措置の2つがあり、適用要件は会社、後継者、先代経営者に関するものがあります。

事業承継税制のメリットは、事業承継にかかる税金が大幅に猶予・免除されること、個人事業主の事業承継も対象となることです。デメリットは、定期的な届出が必要で忘れると納税猶予が終了すること、取消事由に該当すると本税+利子税が発生すること、制度内容が複雑なため専門家のサポートが必須なことです。

事業承継税制を利用する流れは、特例承継計画の提出、自社株の移転、税務申告書の提出、担保の提供、事業承継後の定期報告となります。提出書類や手続きが煩雑なことが利用する上でのネックとなっています。


▷詳しくは:事業承継税制とは|猶予・免除の要件、手続・流れを平易に解説

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