親族内承継

親族内承継とは、いわば家族内での事業の引き継ぎです。この方法は、創業者が子どもや他の親族に事業を引き継ぐ際に、経営権と所有権を同時に承継させることができるため、多くの中小企業で採用されています。親族内承継を行う際には、計画的に時間をかけて進めることが重要です。通常、後継者を選び、育成し、経営に必要な知識やノウハウを教育するプロセスには長い時間が必要であり、少なくとも10年程度の期間を想定して準備を進めることが推奨されます。

親族内承継の流れには、後継者の選定と育成、自社株の承継方法の検討、社内外の関係者への周知、自社株承継の実行、経営権の移譲、保証や担保の交代が含まれます。これらのステップを適切に管理することで、スムーズな事業承継が可能となります。

親族内承継のメリットとしては、従業員や取引先との関係が維持し易い点、創業者が安心して事業を継承できる点、事業承継の準備を早期から開始できる点が挙げられます。これにより、企業文化の継続や経営理念の継承が可能となります。

一方でデメリットは、親族が継ぐ意思がなかったり、能力的に不十分な場合があります。また、健康状態の悪化や相続人間での遺産トラブル、事業承継に十分な時間が取れないことや、個人保証が外せない場合があること、税金の支払原資を用意できない可能性など、多くの課題が存在します。

自社株の承継方法には株式譲渡、贈与、相続があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。成功のポイントとしては、早期に検討を始め、後継者候補の意思確認を行い、現経営者が能動的に動くこと、そして遺言の利用が挙げられます。

親族内承継は、経営・税務・法務に強い支援機関の利用が推奨されます。それにより、親族間での事業承継が円滑に進むよう計画を立てることが、事業の継続や関係者間の良好な関係を築くために重要です。


▷詳しくは:親族内承継とは|意味、流れ、メリット・デメリット、方法を解説

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