M&Aとは

中小企業の現状として、経営者の高齢化が主な原因で休廃業する企業が多く見られます。その解決策として第三者への事業承継が増加しており、国も支援体制を整備しています。事業承継を行う背景には、後継者不足の解決、生産性の向上、そして経営資源の集約化が挙げられます。

M&Aを行う際の売り手のメリットとしては、経営者保証の引き継ぎ、後継者問題の解決、従業員の雇用安定、そして売却益の獲得があります。しかし、課題も存在し、希望価格での売却が難しいこと、従業員の雇用条件や取引先との関係性が変わる可能性があります。

成功するためのポイントとして、M&Aの目的の明確化、M&A後の影響の考慮、そして詳しい人材の確保が挙げられます。M&A支援機関の選び方としては、過去の実績、専門家の存在、費用の比較が重要です。


▷詳しくは:中小企業M&Aの現状と成功事例|流れ・手法・譲渡価格・費用・相談先も解説

M&Aの意味

M&A(Mergers and Acquisitions)は、企業間の合併や買収を指し、複数の企業が合併したり、企業が他の企業を買収することを意味します。

M&Aには歴史があり、1980年代のバブル時代から現在に至るまで、さまざまな時代を経て変化しています。特に、2010年以降は同業種の企業同士のM&Aや成長戦略型のM&Aが増加し、企業連携や成長の拡大が目指されています。

M&Aの種類としては、株式譲渡や事業譲渡、吸収合併、新設合併などがあります。M&Aの目的やリスク・費用に応じて選択され、企業の成長や承継問題の解決に貢献しています。


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経営戦略におけるM&A

経営戦略におけるM&Aは、企業の競争力強化や成長の加速など、さまざまなメリットを提供します。新規事業の立ち上げを可能にしたり、経営課題の解決や時間の短縮、さらにはシナジー効果を生み出すことができます。

M&Aを実施する流れとしては、まず自社の現状を把握します。次に、M&Aの目的を明確にし、譲受先企業を検討します。事業の拡大を目指す場合、他社分析と自社の強みを明らかにすることが重要です。


▷詳しくは:経営戦略におけるM&Aとは?経営戦略の流れや目的、事例を解説

M&Aのメリット、目的

M&Aの実施には、売り手側と買い手側それぞれに具体的なメリットがあります。売り手側では、組織再編や成長の手段として、また事業承継の問題解決策としてM&Aを選択するケースが多くあります。新型コロナウィルスの影響や人口減少などの外部環境の変化に対応し、企業価値を高め、存続させるための戦略としてM&Aが活用されています。特に後継者不在による事業承継の問題は、M&Aを通じて解決を図る企業が増えています。

一方、買い手側のメリットとしては、事業拡大やスケールメリットの追求、人材の確保、新規事業創出などが挙げられます。短期間での事業拡大を実現する手段として、他社の買収により即座に人材、技術を獲得し、企業成長を加速させることが可能です。新たな市場への進出や競争優位性の確立も、M&Aによって実現できる重要なメリットとなります。


▷詳しくは:M&Aのメリット・デメリットとは?売り手・買い手に分けて解説

▷詳しくは:M&Aの目的と課題|譲受側と譲渡側それぞれの目的・課題を解説

M&Aの注意点

M&Aが失敗する主な要因には、譲渡側と譲受側双方に原因があります。

譲渡側では、情報開示の不十分さ、準備不足、情報漏洩、譲受側が優位に立った交渉、不誠実な対応が失敗を招くことがあります。これらは、適切な情報提供、交渉の準備、情報の守秘、相互の信頼関係の維持に努めることで回避可能です。

譲受側の失敗要因としては、M&Aの目的の不明確さ、デューデリジェンスの不足、根拠のない価格設定が挙げられます。成功には、明確な目標設定、入念な企業調査、適切な価格設定が重要です。

また、譲渡側・譲受側の両者に共通する失敗要因としては、信頼できないM&A専門家への依頼があります。信頼できる支援機関の選定は、M&A成功の鍵となります。


▷詳しくは:M&Aの注意点|失敗する要因、中小企業の注意点などを解説

スモールM&A

スモールM&Aは、小規模事業の譲受・譲渡を行うM&Aのことで、譲受金額が少なくリスクが低いため、M&Aに踏み切りやすいのが特徴です。これは、法人だけでなく個人が営む事業も対象になり得ます。一般に3億円以下の譲渡価格で行われる取引を指し、対象企業の年商や従業員数が少ないケースも含まれます。

スモールM&Aには、事業承継が素早くできる可能性、経営者個人保証や担保の問題を解消できる可能性、従業員の生活を守ることができる点など、複数のメリットがあります。一方で、条件を満たす相手を見つけるのが難しい、仲介手数料の負担が大きくなる、認識のずれが発生するリスクがあるなど、デメリットも存在します。


▷詳しくは:スモールM&Aの特徴|一般的な定義やメリット・デメリットを解説

ファンドへの譲渡

いわゆる投資ファンドへの会社売却は、事業承継や後継者問題の解決につながります。後継者不在率は以前として高く、第三者承継は重要な選択肢です。投資ファンドからの経営指導を受けることで、企業は資金調達と信用力獲得の両方を実現できます。さらに、事業規模の拡大や経営ノウハウの習得も可能になります。

一方で、デメリットとしては、リストラや事業縮小のリスクが挙げられます。M&Aによるシナジー効果で雇用が維持される傾向はありますが、コスト削減のための人員整理やノンコア事業の売却が行われることもあります。また、異なる企業文化の融合により、従業員の離脱につながる可能性があります。


▷詳しくは:投資ファンドへの会社売却のメリット・デメリットとは?役割や注意点、事例を解説

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