社内承継

中小企業における社員への株式譲渡は、事業承継や企業成長を目的として行われます。株式譲渡とは、譲渡側の保有株式を譲受側に移動させ、経営権を引き継ぐ手法であり、特に中小企業においては100%譲渡が一般的です。このような株式譲渡は、社員に対して行うことも可能で、自社の社員へ株式を譲渡することにより、信頼できる人物に事業承継を行うことができます。また、株式報酬制度を利用して社員個人に株式を譲渡することで、企業の成長を促し、社員のモチベーション向上を狙うことも目的の一つです。

社員への株式譲渡を行う際には、後継者として適した人がいない、会社の借金や個人保証、担保を引き継ぐことの難しさ、株式買取資金の不足などの問題が発生する可能性があります。

社員に自社株を譲渡する場合、株価算定が必要となります。非上場株式の場合、市場価格が明らかになっておらず、一般に所得税法上の時価(純資産価額と類似業種比準価額の折衷)により算定されます。

なお、事業承継とは異なりますが、従業員持株会を組成して、その持株会に株式を譲渡することもあります。この場合の流れは、社員の範囲決定、規約作成、説明会実施、株式譲渡といったものになります。

社員への株式譲渡には、いくつかの注意点があります。シナジー(相乗効果)が期待できない、せっかく社内承継した後に株式が勝手に譲渡されるリスク、株式を承継した社員が将来退職した際の取り扱いなど、事前に検討しておくべき点があります。これらの注意点を踏まえ、社員への株式譲渡を進めていくと良いでしょう。


▷詳しくは:社員への株式譲渡とは?目的や実施する際の問題点、手続きの流れ、注意点も解

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