M&Aにおいて、相談先には士業、金融機関、M&A仲介会社などが挙げられます。士業は、顧問先であれば税務や会計の熟知者であり、理解が早く、相談しやすい点がメリットですが、M&Aのお相手探しのネットワークに弱みがあります。金融機関は、資金面の相談がしやすく、固有のネットワークを有することがメリットでありますが、M&A業務を主に扱うわけではないため、専門性の不足がデメリットです。M&A仲介会社は、業界の最新動向や費用相場を把握しており、専門性が高い点がメリットですが、仲介がメインであるため、双方の利益調整が難しいことがデメリットです。商工会議所や商工会は、地域密着で無料相談も可能ですが、M&Aの専門性が低いのがデメリットです。事業承継引継ぎ支援センターは、公的相談窓口として無料で相談が可能ですが、M&A仲介会社への紹介に留まるケースも少なくありません。各相談先の特色の理解が大事です。

▷詳しくは：M&Aの相談先は誰がよい？相談先一覧とメリット・デメリットを解説

M&A仲介とは、譲渡側と譲受側の双方をサポートし、事業承継を円滑に進めることを役割とする会社です。

M&A仲介会社を選ぶ際には、その実績や専門家の在籍、信頼性が重要です。譲渡側と譲受側の両者から手数料を得るため、中立性・公正性を持っているかも大切です。

業務内容には、M&A戦略の立案、企業価値評価、条件交渉の代行、各種契約書の作成などが含まれます。手数料体系には、着手金や相談料、中間金、成功報酬などがあり、M&A仲介会社によって異なるため、契約条件を確認することが大切です。

信頼できるM&A仲介会社を選ぶことで、事業承継がスムーズに行われ、後継者不在等の経営課題を解決する手助けとなります。

▷詳しくは：M&A仲介とは？仲介会社を利用するメリット・選定ポイント・注意点を解説

M&Aにおいて税理士（税務を行う公認会計士を含む）は、税務・会計のサポート業務を行います。具体的には、企業価値評価、税務デューデリジェンス、ファイナンシャルアドバイザリーなどで、M&Aの経験が豊富な会計事務所であれば、広範な業務を担うことが可能です。例えば、株式譲渡益に対する税負担の軽減策を検討したり、譲渡方法に関して助言することは、M&Aに強い会計事務所であれば、十分に可能です。

他方で、現状ではM&Aの（特にマッチングの）経験が乏しい会計事務所が殆どであるため、その力量を慎重に見極める必要があります。

▷詳しくは：M&Aでの税理士の役割とは？業務範囲や報酬相場、選び方まで解説

銀行はM&Aを実施する際の相談窓口として機能することがあります。特に、銀行の営業エリア（県内や隣接県）については、広範な顧客ネットワークを活用したマッチングが期待できます。

他方で、銀行の営業エリア外の企業の情報は基本的に持ち合わせていないため、広範な地域からお相手候補を探すことは不得手です。そのため、銀行に相談しても、銀行が提携するM&A仲介会社に丸投げされることも少なくありません。

▷詳しくは：M&Aにおける銀行の役割とは？資金調達やFAで相談する際の注意点

M&Aマッチングサイトは、譲渡側と譲受側を結びつけるプラットフォームです。これにより、効率良くM&Aを進めることができ、さまざまな業種の案件を扱うことが可能です。登録は簡単で、個人事業でも利用することができます。

一方で、サポート体制が弱いことがあり、また掲載サイトには社名は伏せてあるとはいえM&Aを検討している状況が取引先や従業員に感付かれるリスクには注意が必要です。

▷詳しくは：M&Aのマッチングサイトとは｜活用のメリット・デメリットや注意点を解説